西南尾根は展望が良く、歩き応えのある期待通りの素晴らしさ。
やや距離があるので無雪期がオススメです。
概要
滋賀県犬上郡多賀町と米原市にまたがる鈴鹿山脈最北部、標高1,094mの山「霊仙山」
石灰岩が雨水等により侵食されたカレンフェルトやドリーネなどのカルスト地形が見られます。
また、花の百名山として花の多い山としても知られています。
(「霊仙山-米原市公式ウェブサイト」より)
米原市公式登山ルートは全6ルート。
・榑ヶ畑ルート(+西南尾根ルート)
・谷山谷ルート(+横道ルート)
・河内ルート
・柏原ルート
日程 | 2017年3月5日 |
---|---|
ルート | 今畑登山口 ⇒ 西南尾根 ⇒ 最高点 ⇒ 霊仙山 ⇒ 避難小屋 ⇒ 汗拭峠 ⇒ 落合 |
アクセス | Googleマップで「落合神社 」を確認! |
三角点 | 霊仙山 二等三角点 「霊仙山」 |
周辺情報 | 駐車場はありません |
トレッキングレポート
(10:15)
今畑、落合登山口周辺に駐車場はありません。
積み上げられた残雪が路肩を埋め、駐車スペースが激減。
少し戻って車を駐められました。
落合神社へ安全祈願に立ち寄りました。
谷山谷登山道に次いで惹かれた西南尾根登山道。
せっかくなら福寿草の季節に訪れようと気づけば2年が過ぎていました。
(10:40)
登山ポストもある今畑登山口。
深さはないものの最初から残雪たっぷりの登山道が始まります。
再凍結した雪は足を滑らせず、ザクザクと心地良い音を響かせていました。
尾根に上がる頃には気温が上がって踏抜き続出かな?
日当たり良く雪が消えかかっているところも・・・
ペースは上がって快適だけど、どこか物足りない。
(10:50)
福寿草で知られる今畑廃村・・・今回は少し早過ぎました。
林道から歩いてくるしかない納得の廃村です。
井戸からはこんこんと水が湧き続けていました。
廃村となっても訪れる登山者を潤してくれるありがたい存在ですね。
(10:55-11:00)
宗金寺の軒先をお借りして一休み。
雪解け水のポタポタ落ちる音、トントンと板を叩く音。
心地良く刻まれる自然音についつい長居してしまいました。
今畑ルートは榑ヶ畑ルートと比べて登山者がぐっと少ない印象。
しかしながら、米原市公式登山道なので案内はしっかりしています。
残雪期は踏跡がしっかりと残り、赤リボンもしっかり。
夏季は特に登山道が分かりにくいとされていますが全く問題ありません。
(11:10)
西南尾根へと続く支尾根へ入ると残雪は一度鳴りをひそめます。
少し残念に思いながら進めば、窪んだ登山道にたっぷりの残雪。
両脇へ上がれば消耗も少ないのに敢えて真ん中を突き進んで行きます。
(11:40)
登山道はP712を巻くように続いていますが霊仙山の姿を見たくてP712へ。
(11:55)
腰まで埋まりながらP712の頂を踏んだものの、木が多くいまひとつでした・・・
(12:00)
笹峠すぐのピークは絶好の霊仙山展望地。
・・・と思っていましたが西南尾根の南端にある近江展望台でした。
急斜面にはカレンフェルトが立ち並び、ところどころ土が顔を出しています。
切り開かれた東側にはリョウシとコザト。
名前を知ると登りたくなっちゃうけど、お山は列を成して待っています。
でも、いつか登りに来れるようしっかり覚えておこう。
その奥、鈴鹿山脈最高峰の御池岳はさすがの貫禄でした。
藤原岳は頭蛇ヶ平が精いっぱい・・・
(12:25-30)
こちらの案内板を過ぎればいよいよ近江展望台への急登が始まります。
ピンクリボンが案内してくれるものの、カレンフェルトで踏跡は不明瞭。
カレンフェルト間に露出する土がぬかるみ危険なところもありました。
登山口の標高が600mを超えるからかすぐに福寿草に会えます。 山頂までゆっくり登っても1時間あれば十分登れるでしょう。 ...
急登に足を止めて振り返れば、左奥に鍋尻山が見えていました。
鍋尻山も福寿草が多く咲くらしく、来年には登りに行きたいところ。
鍋尻山 カルスト台地に咲く福寿草へ会いに行こう!
下から見えていたのはピークですらありませんでした・・・
奥のピークは近江展望台、目指す霊仙山はちらりとも姿を見せてくれません。
(13:00)
偽ピークに思わず脱力した身体もこの眺望で元気を取り戻しました。
春霞で視界が遮られようとも琵琶湖が見えれば達成感が湧き上がります。
「この標高なら雪は締まって踏み抜かないはず・・・」
残雪上の踏跡を追うも腰まで埋まってカレンフェルトへ撤退。
踏み抜いた先にカレンフェルトがあるとケガの危険が高まります。
(13:20)
鞍部から1時間登り続けて近江展望台へたどり着きました。
ここに来て霊仙山山頂、最高点が姿を表しています。
いつもなら軽快に駆け抜ける稜線も踏抜で走れず。
踏跡を追って巻いたこのピークは南霊仙でした・・・登っておくんだった。
「バンザーイ!バンザーイ!」との声が山頂から流れてきました。
良い大人が感情を露にできる登山って本当に素晴らしい!
こちらまで元気を分けてもらえました。
霊仙山最高点へと続く最後の稜線は雪庇が成長しています。
ここまで本格的な雪庇を目にするのは初めて!
雪庇上に踏跡を見つけて恐る恐るトライ。
一度、踏み抜いて落ちてみたいけれど、落ちた先は絶壁・・・
安全を確保できるところがあれば挑んでみたいですね。
(14:10)
伊吹山を背後に従える霊仙山最高点。
山頂まではもう少しあるけれど、長い稜線歩きはもう終わり!
最高点より西南尾根を振り返る・・・・すごく歩いたはずだけど、それが感じられません。
無雪期ならもっと楽に登れたんでしょうが、残雪期に来たかったんだから仕方なし。
霊仙山山頂へは一度降りての登り返し。
左奥の山頂には山頂碑がちょこんと頭を出しています。
(14:20)
山頂・最高点分岐から見る霊仙山山頂。
降りたか登ったか急斜面には多くの踏跡が残っています。
どうやらこの小ピークを避けて直登されたようですね。
(14:20-25)
今畑登山口から3時間30分を掛けて霊仙山へ登頂!
誰もいない山頂で一息付いたら昼食を取るべく避難小屋へ向かいます。
山頂の東斜面にはシュカブラが描かれていました。
少し硬くなっちゃってるけど、これも雪山の醍醐味の一つ。
本日2回目の登り返しは榑ヶ畑ルート9合目でもある経塚山。
伊吹山を後方に従え、草木のない霊仙山は森林限界を突破したかのように思えて来ます。
カレンフェルトのない登山道は滑りやすいのでカレンフェルト内を行きます。
この1枚・・・贅沢を言えば青空の下で撮りたかった!
(14:40)
思わず伊吹山を入れたら最高点と同じ構図になってしまった・・・
もうこれは仕方ありません。
避難小屋へは北東に伸びる尾根を行きます。
陽当たりの良さか登山道には残雪はなし・・・駆け下ります!
(14:45-15:00)
いつもは多くの登山者で賑わう霊仙山避難小屋もこの時間では寂しい限り。
出発が遅れたにしても昼食がこの時間になるとは思っていませんでした・・・
箸がない・・・。枝で箸を作ろうにも周辺に木はありません。
カップラーメンは泣く泣く諦めて携行食を補給・・・満たされない。
エネルギーチャージに失敗しても最高点、山頂、経塚山が元気をくれました。
帰路は3年半振りの榑ヶ畑ルートで汗拭峠から落合へと戻ります。
雪に埋もれた夏道を踏跡を頼りに進んで行きます。
霊仙山の人気からすると踏跡が少ないような・・・?
(15:25)
お虎ヶ池は完全に雪に埋もれていました。
シュカブラがお虎ヶ池に注がれるかのように描かれています。
どうやら御猿岩から経塚山と霊仙山の鞍部が冬道となっているようです。
9合目の経塚山は絵になるので巻いちゃうのはもったいない気がします。
(15:30)
決して小さくはないお猿岩も完全に雪に埋もれたようです。
雪面が一気に汚れて来ましたがこれは人気の証拠・・・仕方なしです!
お猿岩を過ぎると雪は消えるものの、足元は緩くペースを上げられません。
雪解け水が登山道に流れ込み、完全にぬかるみと化していました。
ここまで来ると登山道を少し外して歩いた方が良いレベルです。
(15:45)
前回は眺望を楽しんだ見晴台も下りでは通り過ぎるのみ。
西南尾根からたっぷり眺望を楽しんで来ましたから!
これだけ幅があれば川となった登山道を避けて歩けました。
残雪期の下りは雪がなくとも油断禁物です。
(16:00)
落合へと続く大洞谷の最上流である源頭。
榑ヶ畑ルートとの分岐である汗拭峠までは大洞谷を離れ尾根を行きます。
石灰岩が露出する急なところもぬかるみに比べれば快適。
足を岩がしっかりとキャッチしてくれるので駆け下りられます!
歩いても走っても良い痩せ尾根。
秋には霊仙山へと続く紅葉のトンネルとして迎えてくれます。
(16:05-15)
汗拭峠で休んでいると「山頂で熊見ませんでしたか?」
霊仙山で熊・・・確かに今畑登山口で熊の注意書があったような・・・。
何事もなかったようで良かった。
落合へ駆け下りて行くと階段の丸太からきのこが顔を出していました。
まさかきのこに和む日が来るとは・・・
落合へと続く登山道は整備がガクっと落ちます。
人気が高く、個人的に大好きな霊仙山にはこんな静かなルートもあるんです。
大洞谷まで降りて来ると残雪が再び現れました。
朝は踏抜かなかった雪も完全に硬さを失っています。
この先数回訪れる渡渉ポイント。
ロープは借りないけど、目印としては本当にありがたい。
渡渉を終えると泥にまみれていたシューズが綺麗になっていました。
下山ルート終盤に渡渉する時は積極的に活用して行きましょう!
これも渡渉ポイント・・・?
ハシゴを登っても雪に邪魔されて大変そうなので通過します。
少し歩いて浅くなっていたところで渡渉。
「どこかで渡れるだろう」とは思っていたものの、心配する間もない距離でした。
(16:50)
砂防ダムを過ぎれば足元をすくわれ続けてきた残雪も終わり。
工事現場を経て林道へ入ります。
(17:00)
汗拭峠から駆け下りて45分で落合登山口へ。
ここから今畑登山口へは走って5分・・・お疲れさまでした!
谷山谷登山道に次いで惹かれた西南尾根登山道。
「どうせなら福寿草の見られる残雪期に行くしかない!」
そう思ってから2年・・・福寿草には少し早かったのが残念でした。
福寿草は今畑廃村で見られるようです。
まだ雪が深く一輪すら見つけられませんでした。
西南尾根は展望が良く歩き応えがあり、期待通りの素晴らしさ。
やや距離があるので無雪期がオススメです。
残るは柏原ルートと河内ルート・・・また時間を空けて訪れようと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
霊仙山に興味が湧いた人は応援クリック ⇒ 登山ランキング
紹介された記事
霊仙山の山行記録
鈴鹿山脈の山行記録