鈴鹿セブンマウンテンに次ぐ鈴鹿山脈の名峰、仙ヶ岳。
落石だらけの石谷川林道に荒々しい岩稜が続く南尾根。
朽ちた橋、ハシゴ、鎖場と変化に富んだ楽しいお山でした!
概要
三重県鈴鹿市、亀山市、滋賀県甲賀市にまたがる961mの山「仙ヶ岳」
900mを超える山としては鈴鹿山脈最南端。
東西に2つの峰を持ち東峰には仙ノ石と呼ばれる奇岩がある。
(「観光パンフレットのお申し込み-すずかし観光ガイド 」より)
主な登山ルートは6ルート。
・南尾根(石谷川林道 ⇒ 南尾根・白谷分岐 ⇒ 滝谷不動 ⇒ 仙ノ石 ⇒ 仙ヶ岳)
・白谷道(石谷川林道 ⇒ 南尾根・白谷分岐 ⇒ 堰堤 ⇒ 仙ヶ岳)
・御所谷(石谷川林道 ⇒ 南尾根・白谷分岐 ⇒ 白谷・御所谷分岐 ⇒ 御所峠 ⇒ 仙ヶ岳)
・小社峠(小岐須渓谷 ⇒ 仙鶏尾根・小社峠分岐 ⇒ 小社峠 ⇒ 仙ヶ岳)
・仙ヶ谷(小岐須渓谷 ⇒ 仙鶏尾根・小社峠分岐 ⇒ 仙鶏尾根 ⇒ 仙ヶ岳)
・坂本(坂本棚田 ⇒ ミツマタの森 ⇒ 仙鶏尾根 ⇒ 仙ヶ岳)
「 三重県の山」掲載の白糸の滝から南尾根、仙ノ石を経て仙ヶ岳へ登頂。白谷道を下る周回ルートを歩いてきました。
日程 | 2017年10月1日 |
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ルート | 白糸の滝駐車場 ⇒ 南尾根・白谷分岐 ⇒ 南尾根 ⇒ 仙ノ石(東峰) ⇒ 仙ヶ岳 ⇒ 白谷道 ⇒ 南尾根・白谷分岐 ⇒ 白糸の滝駐車場 |
アクセス | Googleマップで「白糸の滝駐車場 」を確認! |
三角点 | このルート上に三角点はありません。 |
周辺情報 | 白糸の滝駐車場 5台 |
トレッキングレポート
白糸の滝 駐車場
県道302号と新名神が交差する仙ヶ岳登山口バス停から茶畑へ入ります。
石谷川林道は狭く荒れ気味ですが、白糸の滝まではわずか・・・がんばりましょう。
正面に見えるのは仙ヶ岳ではなく鬼ヶ牙。荒々しい岩稜に心惹かれます。
(11:25)
白糸の滝駐車場はまさかの混雑・・・松茸ハンターでした。
路肩も含めれば5台ほど駐められそうです。
白糸の滝・三ツ淵へと続く階段。
どちらも滝カテゴリに加えたいけど、今回は時間が足りず・・・
石谷川林道
軽トラなら進めそうですが、この先は落石多数。
大人しく車を降り、仙ヶ岳登山が始まります。
各地で花が盗掘により数を減らしていると耳にします。
「とって良いのは写真だけ。残して良いのは足跡だけ。」
登山者にできるのは自然を壊さぬよう楽しませてもらうだけです。
歩き始めて数分、落石が行く手を阻みます。
オフロード車なら進めなくもないかな?
石谷川林道は岩を切り開いて作られています。
期待した使い方とは違うだろうけど、ありがたく使わせてもらってます。
岩陰の苔にひっそりと生えるキノコ。
山菜やキノコの知識が欲しいけど、踏み出す勇気が持てません。
林道を貫くように倒木が横たわります。
警戒感なく歩いてるけど、雨のときは土砂の通り道となるのでしょう。
落石と言うより崩落・・・
特に危険を感じなかったのは感覚が麻痺してるんでしょうね。
頭上を気にしながら早々に駆け抜けましょう。
(11:45)
峠を全く感じられない小矢場峠。
小矢場峠コースは石谷川沿いのルートで廃道化しています。
土砂が流れ込み半ば埋まった石橋。
朽ちない石橋のおかげでこうして進めます。
尾根の沿って左から右に大きく回り込んで行きます。
荒々しい落石地帯は終わり、やがて石谷川林道は終点です。
(11:55)
白糸の滝駐車場からおよそ30分で石谷川林道終点に到着。
いつもは退屈な林道歩きも落石のおかげで楽しく歩けました。
30分の林道歩きを経て、いよいよ登山道が始まります。
鈴鹿セブンマウンテンほどではないけど、踏跡しっかり。
枯沢に掛けられた頼りない橋。
水も少ないので横を通り抜けましょう。
南尾根・白谷道分岐
(12:00)
南尾根・白谷道分岐。滝谷不動方向、南尾根へ。
渡渉した沢沿いをゆっくり登って行きます。
沢が奏でるせせらぎが癒しをくれる快適な登山道。
出発が遅く焦る気持ちを落ち着かせてくれました。
炭焼小屋跡の石垣がいくつも見つかりました。
ここではどんな生活が営まれていたんだろう?
第2渡渉ポイント。
水量は増えてきたけど、足元を濡らす心配はありません。
流出した落石が登山道を横切っていました。
このわずかな変化が足の疲れを忘れさせてくれる。
南尾根で強く印象に残った滝。
苔むす岩は滑りやすく、ロープをお借りしました。
時間を掛けて穿たれた滝壺の深さに驚かされました。
ここでもう少し時間を使っても良かったな・・・
半ば朽ち橋たには不安しかありません。
ロープを握り、斜面と橋に片足ずつ・・・慎重に。
水場
(12:15)
水場にはペットボトルが置かれていました。
火照った身体に冷たい水が気持ち良い・・・
ガレの急登に興奮して勢い良く駆け上がる!
実はここ、登山道ではありませんでした・・・引き返します。

過ちを繰り返さぬよう慎重にテープを拾います。
ガレ場のペンキには本当に助けられました。
滝谷不動明王
南尾根に合流したところにある滝谷不動分岐。
滝谷不動へは数分、眺望も楽しめるので立ち寄りましょう。
滝谷不動への道はちょっぴり急登。
左から回り込むように登って行きます。

滝谷不動の裏から大岩へ登れます。
不安を感じた丸太階段はしっかり固定されていました。
(12:50-13:00)
滝谷不動からは亀山市が一望できます。
眺望を楽しみながら携行食を補給。
仙ヶ岳方向を見れば岩壁が存在感を放っていました。
ここからアルペン的な表情を持つ南尾根の核心部・・・期待が高まります。
ちょっぴり驚かされた垂直ロープ場。
足掛かりは豊富にあるので難なく登れました。
足元に花崗岩が露出して来ました。
ずっと続くと足に来ちゃうけど、この程度なら歩みを早めてくれます。
連続するピークが待ち受ける南尾根の核心部へと入ります。
ピークは東峰から数えてP1~4まで。
(13:20)
南尾根P4から眺めるP3・P2・東峰。
鎌ヶ岳の鎌尾根ほどインパクトはないけど、登り返しが連続します。
一面に広がるミツマタはまさに群生! 100座以上登っても知らない景色がそこには広がっていました。 鈴鹿山脈では今一つぱっ ...
東隣には野登山。
ミツマタの森から仙鶏尾根を経て仙ヶ岳にも登れます。
ミツマタ浮かぶ幽玄の森 野登山 ミツマタの森~表参道
枝を針金でくくっただけのシンプルな階段。
針金は錆付きいつ切れてもおかしくありません。注意してください。
(13:35)
P3から眺めるP2・仙ヶ岳。
南尾根を代表する風景が広がっています。
P2はちょっとした岩場登りが楽しめます。
急な岩場は腕も使えば瞬く間に高度を稼いでくれました。
(13:45)
P2から眺めるP1・東峰。P1はP2に負けない存在感。
あの獅子岩の先に立った写真が欲しかったな・・・
P1は緩やかで岩場登りはありません。
獅子岩の真横を通り抜けて行きます。
東峰のみを残すところまで来ました。
ピークの右端に頭を出しているのが仙ノ石です。
仙ノ石
(13:50)
仙ノ岩は眺望あり、空間ありで休憩にぴったり。
しかしながら、山頂までは残りわずか・・・もう少しがんばろう。
仙鶏尾根・南尾根分岐
少し進めば南尾根・仙鶏尾根合流点。
仙ヶ岳・・・の前に東峰を踏みに行きます。
東峰周辺は踏跡が点在する上に東峰への踏跡は薄くなっています。
踏跡と共に高さを意識して東峰へ向かいましょう。
仙ヶ岳 東峰
(13:55)
小さな山名板が東峰を知らせてくれました。
展望がなく小さな山頂は時が止まったかのような静けさ・・・
目指す山頂は目前・・・東峰探索で足は回復。
高揚する気持ちのままに駆け下りて行きます。
東峰から仙ヶ岳を繋ぐ尾根はかなり痩せています。
でも、この痩せ尾根を駆け抜けるのが気持ち良いんです!
仙渓尾根・白谷道分岐
(14:00)
仙ヶ岳と東峰の鞍部にある白谷道分岐。
帰路はこの白谷道で下山します。
仙ヶ岳 山頂
(14:05-20)
仙ヶ岳は狭くザレた山頂。
白糸の滝駐車場から2時間40分・・・ほぼコースタイム通りです。
山頂標識の奥には宮指路岳から鎌ヶ岳へのびる稜線。
鈴鹿セブンマウンテンを完登しても、鈴鹿山脈の山は尽きる気配はありません。
登って来た南尾根・・・山頂からだと荒々しさが隠れちゃいますね。
奥の末広がりは明星ヶ岳かな?
御所谷や御所平も気になるけど、時間が許してくれません。
鬼ヶ牙経由の大周回を組んでみるのも面白いかな?
(14:20)
鞍部まで戻り、白谷道から下山。
少し薄目の踏跡も歩みと共に明瞭になっていきます。
やがて水のない白谷へ下りる。
少し進めばガラガラとした谷筋歩きが始まります。
浮石だらけの谷底より踏跡のある右岸を歩きましょう。
しかしながら、右岸歩きも長くは続きません。
白谷道、お気に入りの1枚。瑞々しい木々が優しい光を届けてくれます。
足元が悪く変化のない下りだけど、歩いていてどこか気持ち良い。
少しだけ谷から離れるときもあります。
浮石のない地面のありがたさが身に染みました。
まず迷う心配がない白谷道ですが、ケルンが元気を分けてくれました。
人の痕跡にほっとするのかな?
気付けば白谷に水が流れ始めていました。
この先、何回も渡渉を繰り返します。
一時的に谷筋から解放され、歩きやすい登山道へ入りました。
これまでのストレスを発散するように駆け抜けて行く!
砂防ダム
倒木が登山道を通せんぼ。
乗り越えるには大きく下を潜り抜けました。
ここまで信頼できない橋もなかなかありません。
しかも、こんな橋が三度繰り返されます。
隙間に足を滑らせないように慎重に足を運びます。
絶叫マシンでは味わえない恐怖感がありました。
(15:30)
崩落で埋められた登山道をハシゴで迂回。
ハシゴが新しいけど、増水で流されたりするのかな?
ハシゴを下って振り返ると思わず目を見張る光景。
丸みを帯びた岩に透き通った水がどこか神秘的に感じられました。
鎖場
子供達が喜びそうな天然プール。
残念ながら白雲の滝は見落としてしまいました・・・
(15:50)
どうやら旧営林署小屋は畳まれてしまったようです。
登山者が活用できたけど、何かしら事情があるんでしょうね・・・
石谷川林道は駆け抜けて15分で白糸の滝駐車場へ戻りました。
まとめ
鈴鹿セブンマウンテンに次ぐ鈴鹿山脈の名峰、仙ヶ岳。
落石だらけの石谷川林道に荒々しい岩稜が続く南尾根。
朽ちた橋、ハシゴ、鎖場はほど良い刺激をくれます。
鈴鹿セブンマウンテンより整備は劣るものの変化に富んだ楽しいお山でした。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
参考になった書籍
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紹介された記事
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