山頂へ登らなくとも森林限界を超えた世界とお花畑だけでも楽しい!
剣ヶ峰山頂の乗鞍本宮では登山守を購入できます。
ほおのき平から剣ヶ峰、お花畑をレポートします。
概要
岐阜県高山市と長野県松本市にまたがる剣ヶ峰(3,026m)を主峰とする山々、「乗鞍岳」
多くの峰が南北に連り「乗鞍連峰」とも呼ばれる。
岐阜・長野から畳平まで車道が通じ、「3,000m級で最も登りやすい山」と言われる。
(「乗鞍岳散策マップ-飛騨乗鞍観光協会 」より)
畳平から大黒岳、富士見岳を経て剣ヶ峰へ登頂、お花畑を一周して畳平。
乗鞍新登山道整備2017で整備された乗鞍岳と平湯温泉を結ぶ新登山道を歩いてきました。
この記事目では、ほおのき平から乗鞍岳、畳平に戻るまでをレポートします。
日程 | 2017年8月12日 |
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ルート | 畳平 ⇒ 大黒岳 ⇒ 富士見岳 ⇒ 剣ヶ峰 ⇒ お花畑 ⇒ 畳平 ⇒ 姫ヶ原 ⇒ 硫黄岳 ⇒ 乗鞍権現 ⇒ 平湯温泉スキー場 |
グレーディング | 畳平 ⇒ 乗鞍岳 体力度 2/10 難易度 B/E 平湯温泉 ⇒ 乗鞍岳 体力度 7/10 難易度 C/E |
アクセス | Googleマップで「ほおのき平駐車場 」を確認する (高山ICより35分) |
周辺情報 | アルピコ交通 シャトルバス(ほおのき平⇔畳平) 片道:1,270円 往復:2,300円 濃飛バス 平湯・新穂高線(大滝口・キャンプ場前⇒ほおのき平) 550円 |
トレッキングレポート
ほおのき平駐車場
(22:30)
2年振りに北アルプス、4年振りに乗鞍岳へ訪れました。
真夏の乗鞍岳は大混雑と思いきや、駐車場は半分ほど空いています。
ほおのき平バスターミナル発、乗鞍山頂(畳平)行バスの始発は3時45分・・・当然、車中泊です。
乗鞍岳は3,000m級で最も登りやすい山だけど、畳平から平湯へは15km。
身体を休めたいのに興奮で寝付けません・・・
(3:15)
3時に起床、始発30分前に切符を購入。
バス待ちは数人しかいませんでした。

(3:30)
御来光バスが到着すると、行列は20人以上に伸びていました。
4年前は同じ時間に並んで3台目、今回は余裕の1台目だ。
ほおのき平バスターミナルからご来光登山口バス停まで45分・・・おやすみなさい。
ご来光登山口
(4:15)
畳平前のご来光登山口バス停で下車。周辺はガスに包まれひんやり。
携帯で足元を照らし、県境ゲートへ向かいます。
(4:25)
大黒岳と富士見岳の鞍部にある県境ゲート。
前回は富士見岳・・・今回は大黒岳から御来光を仰ぎます。
暗闇に染まる登山道を駆け上がると気付けば先頭集団・・・
振り返れば揺れるライトが寂しさを打ち消してくれました。
大黒岳
(4:30)
濃霧をかき分け、5分も登れば大黒岳山頂です。
ひっそりと立つ大黒岳避難小屋は吹きさらしだけど、雨風を避けられるありがたい存在です。
避難小屋から人があふれてしまいました。
日の出は5時過ぎ・・・朝食を食べながらじっと待機。
(5:00)
日の出時刻に備えて多くの登山者がカメラを構え始めました。
ガスは勢い良く流れてる。このまま待てばきっと・・・
日の出時刻を過ぎ、ガスは確実に薄くなって来てる。
でも、御来光を仰ぐまでには至りませんでした。
一人が諦めて歩き始めれば、御来光難民の大移動が始まります。
大黒岳から県境ゲートへ向かえば正面に鶴ヶ池がどーん・・・?
足元は明瞭なのに鶴ヶ池は半分も姿を見せてくれません。
高山植物の女王とも呼ばれるコマクサ。
開花時期は7月上旬~8月中旬。
雨に打たれたせいか元気がないけれど、間に合って良かった。
登りは暗闇とガスで見えなかった富士見岳。
前回はあの頂から御来光を仰ぎました。
朝露の重さに頭を下げているのはチシマギキョウ。
良く似たイワギキョウとの違いは毛の有無。
下の方にある蕾はナスみたいだ。
(5:20)
大黒岳から降りると富士見岳に陽が射し始めました。
人も集まってるし、遅ればせながら御来光に会えたのかな?
御来光は照らしてくれるけど、その姿を見れません。
初日の出に御来光と外さなかったけど、仕方ありませんね。
最高峰である剣ヶ峰へは富士見岳横の登山道へ進みます。
ガスは少しずつ晴れて来てる・・・・剣ヶ峰に着く頃には青空が見えるはず!
(5:30)
前回はこの富士見岳から御来光を仰ぎました。
懐かしさが湧き上がって来たので立ち寄って行きます。
富士見岳は大黒岳と比べて荒々しい登山道。
しかしながら、10分ほどで登頂できるので軽く登りましょう。
富士見岳
(5:40-45)
ケルンが高く積まれた富士見岳。
風をさえぎるものがなく、強風に吹かれながらの御来光待ちが記憶に残ります。
富士見岳を奥に抜ければ剣ヶ峰へと続く登山道へ合流します。
知らずに戻られる方もいたので声を掛けさせていただきました。
(5:55)
登りと同じく10分ほどで富士見岳から下りられました。
整備の行き届いた遊歩道・・・ありがたいけど、ちょっぴり物足りない・・・
(6:00)
右手に現れる摩利支天岳は進入禁止・・・山頂には観測所があります。
肩の小屋に近くになると左斜面が切れ落ちた登山道が始まります。
ガスさえなければ肩の小屋が見えるのですが・・・
少しガスが晴れて長野県から畳平へ続く乗鞍エコーラインが現れました。
ヒルクライムの聖地だけあって多くのサイクリストが自転車で上がってきます。
肩の小屋周辺は多くの花々が出迎えてくれます。
散形に小さな花を付けるのはシラネニンジン。
不思議なダンジョンで知られたオトギリソウの高山種、シナノオトギリ。
小さなヒマワリのように元気をくれたのはウサギギク。
色違いのシロバナヨツバシオガマ。
白い花は貴重。目にするのが難しいようです。
肩の小屋
(6:10)
たくさんの花々を写真に収めていれば、気付けば肩の小屋でした。
剣ヶ峰への登り口は肩の小屋奥・・・そのまま直進しましょう。
奥の公衆便所をお借りして剣ヶ峰口のある肩の小屋裏へ。
晴れ予報で乗鞍岳に来たけど、ガスは晴れる気配がありません・・・
麓のガスが少し薄くなってきたような?
朝日岳と剣ヶ峰はガスに隠れたままだけど、待ってても仕方ない・・・行きます!
(6:15)
展望のなさは登頂への障害になりえません。
頂上小屋は営業しているようだし、コーヒーを飲みながら待っても良い。
剣ヶ峰に向かって歩き始めます。
剣ヶ峰への歩みを進めると嘘のように青空が迎えてくれました。
そう・・・この空をずっと待ってた!
やがて頭上の雲も晴れ、暖かい陽射しが降り注ぎます。
どこかくすんでいたハイマツ達も新緑が鮮やかに!
振り返ると隠れていた摩利支天岳の観測所も姿を現しました。
その奥には北アルプスが控えていますがそこまでは望めないかな・・・
湧き上がる歓声に再び振り返ると雲海に北アルプスが浮かんでいました。
シルバーウィークは満を持して憧れの槍ヶ岳へ! 二日目は足元に雲海、頭上は雲一つない青空・・・大絶景が広がる。
「ブロッケンだ!」の声にカメラを拡大し探すものの見つけられず・・・
しかしながら、雲海に浮かぶ槍ヶ岳を収められて良かった!
登山者憧れの名峰!槍ヶ岳 新穂高(右俣)ルート
手前の朝日岳は巻いて鞍部に至れば、剣ヶ峰は目と鼻の先。
この青空もいつまで続くか分からない・・・急がなきゃ。
鞍部に辿り着くとコバルトブルーの権現池が迎えてくれます。
御嶽山のニノ池に次ぎ、日本で2番目に高所にある火口湖です。
(7:10)
剣ヶ峰への前衛峰、蚕玉岳。
ここまで来ると山頂にある乗鞍本宮奥宮や鳥居が確認できます。
山頂直下は急なガレ場ですが、ほんのわずか・・・駆け上がります!
左へそれて行く分岐は頂上小屋へと続いています。
前回は冷え切った身体を温めてもらいましたが今回は防寒もしっかり!
頂上小屋は帰路に立ち寄って山頂へ!
剣ヶ峰
(7:20-45)
朝の濃霧からは信じられないような青空の下、乗鞍岳最高峰の剣ヶ峰へ登頂。
大日岳の奥には御嶽山が雲海から顔を出していました。
剣ヶ峰山頂の乗鞍本宮奥宮には神主がいらっしゃいました。
登山守りと山バッチを購入、これで今年の登山は無事息災間違いなし!
裏の朝日権現社にも重ねて安全祈願。
雲海に浮かぶ高天ヶ原。日本神話で神々が住まうとされた場所です。
実は白山や金剛山、伊吹山にも伝承が残っています。
続々と押し寄せる登山者に山頂が狭くなってきました。
乗鞍本宮裏から頂上小屋へ向かいます。
(7:50)
前回は冷え切った身体を温めるためにコーヒーをいただきました。
「こんな岩場を素手は可哀想」とアドバイスを受けて軍手も購入。
思い出に後ろ髪引かれつつも先は長いと立ち寄りません。
気付けば青空が姿を消し、どんよりとした天気へ。
御来光は仰げなかったけど、あの一瞬の青空を山頂で迎えられました。
それだけで始発で来た甲斐がありました。
(8:15-30)
肩の小屋へ戻ると、山頂部はガスに埋もれてしまいました。
登り始める前はこんな感じだったしまた晴れてくれると良いな。
帰路は富士見岳を巻いてお花畑へ向かいます。
前回は激しい靴擦れに諦めた未踏ルート・・・楽しみです!
行きはガスに覆われていた不消ヶ池もコバルトブルーに輝いています。
水面下に残る雪渓がどこか幻想的な美しさ。
写真では伝えきれない美しさです。是非、ご自分で見てくださいね!
(8:45)
不消ヶ池を過ぎれば間もなくお花畑分岐。
色褪せた木の階段を下り、沢沿いの石段を行きます。
水が豊富さからかお花も多く見られました。
ロープで近づけないのがもどかしい!
今回お気に入りのハクサンイチゲ。シナノキンバイ、ハクサンボウフウ。
白山を冠する花ではハクサンコザクラとハクサンイチゲが可愛いですね。
お花畑
(8:55)
お花畑周辺は木道が整備されています。
お花畑保護のため、木道を外さずに楽しみましょう。
花糸が儚げで美しいカラマツソウ、肩の小屋で見られたシナノオトギリ。
乗鞍岳では初対面のミヤマアキノキリンソウとミヤマキンポウゲ。
(9:10)
お花畑は15分ほどで周回して雷鳥の碑まで戻って来ました。
富士見岳でライチョウが見られたと聞きましたが見過ごしてしまいました・・・
雷鳥の碑から畳平までも見事に花が咲き誇ります。
ハクサンイチゲとシナノキンバイの群落は見事でした。
畳平の石垣にイワギキョウが咲いていました。
畳平
(9:20)
畳平まで戻って来ました。
まだ9時半か・・・と思いつつも3時半から動いているので6時間。
平湯に向かう前に腹ごしらえをして行きます。
天ぷらそばにソフトクリームでしっかりカロリーをチャージ。
温かい食べ物を身体に入れるとほっとしますね。
案内所で平湯・乗鞍新登山道マップをいただけました。
下りのコースタイムは11.6kmを約5時間・・・ここからが本番です!
まとめ
4年振りに訪れた乗鞍岳は新鮮な気持ちで登られました。
体力的な余裕に加え、花々の知識、アルプス同定が可能になって楽しさが倍増。
そのおかげで前回よりもぐっと充実した記事が書けました。
山頂まで登らなくとも森林限界を超えた世界とお花畑だけでも十分楽しめます。
登山者ならば山頂の乗鞍本宮までがんばって登山守を購入しましょう。
後編は平湯・乗鞍新登山道をレポートしています。 平湯・乗鞍新登山道は11.6kmのロングコース。 夏はコマクサが咲き誇り、焼岳越しに笠ヶ岳から槍ヶ岳を一望できる景観美し ...
高山植物と稜線歩きの下山ルート 乗鞍岳 平湯・乗鞍新登山道
最後まで読んでくださってありがとうございます!
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