4年振りの銚子ヶ峰は気持ちを新たに登れました。
山を歩くだけで楽しかった4年前・・・。
今は花、湿原、稜線と楽しみ方が増えた分、更に楽しめました。
概要
岐阜県郡上市と高山市にまたがる標高1,810mの山、「銚子ヶ峰」
古くから白山の参拝に利用された美濃禅定道にある。
山域は白山国立公園。郡上市の最高峰。
古より続く美濃禅定道を歩いてきました。
白山周辺の道路の通行状況 を確認しましょう。
日程 | 2017年8月6日 |
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ルート | 美濃禅定道( 石徹白の大杉 ⇒ 神鳩避難小屋 ⇒ 銚子ヶ峰 ⇒ 一ノ峰 ⇒ 二ノ峰 ⇒ 三ノ峰避難小屋 ⇒ 三ノ峰 ) |
アクセス | Googleマップで「石徹白登山口駐車場 」を確認! |
三角点 | 銚子ヶ峰 三等三角点 「銚子峯」 |
ニノ峰 三等三角点 「二ノ峯」 | |
周辺情報 | 石徹白登山口駐車場 17台 |
満天の湯 大人800円 小人400円 |
トレッキングレポート
低山が猛暑に沈む夏、銚子ヶ峰に人が集う理由は白山へのテント泊。
白山はこの時期、多くの高山植物が見頃となります。
天気予報に裏切られ5時発予定が大幅に遅れてのスタートとなりました。
石徹白登山口には東屋、トイレが整備されています。
前回来たときは東屋内にテントを張られていた方がいました。
(7:20)
ここに来るのは4年振り・・・前回はしなと共に6時発でニノ峰で撤退でした。
出発から1時間半も遅れたけれど、積み上げた経験が後押ししてくれるはず・・・
銚子ヶ峰は白山へと続く美濃禅定道上にあります。
早朝の雨は森の濃さを増し、荘厳な空気が満たされています。
(7:30)
420段の石段を越え、靴底から下界の泥を取り除けば、森の長老が現われます。
樹齢1,800余年、高さ24m、幹まわり13mを誇る「いとしろの大杉」
気づけば手を合わせ、この山行の無事をお祈りしていました。
この先でアクシデントが発生!
熊が朽木でお食事中・・・少し待って後続の団体と合流。
大人数でゆっくりゆっくり進むと熊の姿はありませんでした。
鮮やかな傘を持つタマゴダケ。
有毒キノコに誤解されがちだけど、食用キノコとして人気があります。
しかしながら、キノコは怖くて手が出せません・・・
熊の心配もなくなったところでスピードアップ。
ちょっとした登りと平坦地が交互に現れるので軽快に進んで行きます。
4年前は余裕がなくて覚えてないけど、銚子ヶ峰ってこんなに登りやすいお山だったんだ。
(8:10)
雨上がりでも穏やかな沢を一跨ぎ。
晴れていれば水がない涸沢となっているのかもしれませんね。
(8:20)
女人禁制の白山を登ろうとした泰澄の母を神様が叱ったときに
「泰澄の母なるぞ」とおたけりをあげたとされるおたけり坂。
距離はないものの急登が始まります。
(8:25)
泰澄の母が雨やどりをしたとされる雨やどりの岩屋。
入口が岩で封印されているような・・・?
左手が開けて銚子ヶ峰の山頂が現れました。
大きく右から回り込むのでもう少し時間が掛かります。
サウンドノベルで一躍名を馳せた弟切草
「花言葉は・・・復讐」にピンと来る方もいるのではないでしょうか?
(8:55-9:05)
およそ1時間半で神鳩避難小屋へ辿り着きました。
当たり前だけど、4年前と変わらない小屋。
今回もメッセージを書き残しました「4年振りに来ました。別山行けるかな?」
神鳩避難小屋から10分ほど下ると冷たくて美味しい水場があります。
なのでこの周辺では絶対に排泄してはいけません!
(9:15)
見えていた銚子ヶ峰の頂が霧に消えてしまった。
でも、今日の天気は尻上がり。風が吹けばすぐに姿を見せてくれるんでしょう?
母御岩が青空を連れて来てくれました。
しなをまた母御岩に座らせて、成長っぷりを並べて見たかったな・・・
伊吹山が教えてくれたシモツケソウ。ぽつりぽつりと咲いていました。
(9:30-35)
空が青さを増し、呼応するように歩みも軽快だけど、2時間が経過・・・
先は長いので母御岩で携行食を補給。
母御岩の陰でミヤマイワニガナが咲いていました。
4年前は花に興味がなく記憶にないけど、こんなに花が咲いてたんだ・・・
ちょっとだらしなく咲くのはマルバダケブキ。
ギボウシも咲き始めていました。
4年前と変わらない銚子ヶ峰の山頂部。晴れていれば別山が右奥に見えます。
思えば笹原から伸びる登山道に惹かれたのは銚子ヶ峰が初めかもしれない。
銚子ヶ峰の山頂直下でニッコウキスゲが一輪だけ咲いていました。
三ノ峰から別山に掛けて群生しているそうだけど間に合うかな?
(9:50-10:00)
休憩込でおよそ2時間半、銚子ヶ峰に登頂できました。
通過するつもりでしたが懐かしさに思わず足を止めてしまいました。
4年前は「しなの心を折る」と掲げて登った銚子ヶ峰・・・そこから交際に至るんだから不思議です。
空は青さを取り戻しつつあるに一ノ峰から先は閉ざされたまま・・・
見えている2つのピークは名のない偽ピークです。
(10:15)
倒れたまま放置されていたのは「うえ田と笠場湿原下り口」
側面には「つなぎぶしの桧」とも刻まれていました。
笠場湿原への下りはかなりの藪漕ぎを強いられそうです。
奥に続くのは願教寺山・・・登山道がなく残雪期のみ登れるお山です。
ピークを二つ越えるといよいよ一ノ峰から三ノ峰への稜線が姿を現しました。
ここから一ノ峰までは急で狭い登山道・・・軽く心を揺らして来ます。
揺さぶられた心を癒すかのようにタカネナデシコが現れました。
大和撫子って清楚な美しさをナデシコに見立てた美称と言われますが華やか過ぎじゃ?
(10:40-45)
見晴らしの良い一ノ峰。ここまで共に来た登山者達は引き返すらしくしばし談笑。
4年前はニノ峰で撤退したので、最低でも三ノ峰までは足を止められないんです。
すっかり忘れていたけど、ニノ峰へ続く稜線はこの美しさ。
前回は必至過ぎて眺望に目を向ける余裕がなかったんだろうな・・・
4年の歳月を経て眺望や花を楽しむ余裕が養われています。
二ノ峰から花々が増してきます。
ハクサンフウロは白山へと近付く証のようで嬉しくなりました。
ミヤマアキノキリンソウは花が丁部に固まるのが特徴です。
花弁はなく花糸が広がるカラマツソウ。
カラマツソウとは対称的にギュギュっと詰まったヤマハハコ。
他にはウマノアシガタ、ヨツバヒヨドリ、タカネニガナが咲いていました。
どこにあるか分からなかった鬼の昇面岩。
次はちゃんと写真に収めようと思います。
(11:45)
前回、水分が1Lを切って泣く泣く撤退した二ノ峰。
ここから未踏部へと足を踏み入れて行きます。
ハクサンアザミ、シモツケソウ、ウマノアシガタの群落。
未踏領域への門出を祝うように多くの花々が見送ってくれました。
この時間では別山へは絶望的・・・だけど、未踏の三ノ峰への歩みは心躍ります。
ガスは濃いままだけど、登る先は不思議と晴れてくれる。
(11:55)
ニノ峰と三ノ峰の鞍部にある水呑釈迦堂分岐、5分ほど下ると水場があります。
水が染み出すほどででした。期待しない方が良さそうです。
初対面となるタカネマツムシソウ。
マツムシソウの高山変種でミヤママツムシソウとも呼ばれます。
二ノ峰からも見えていた踊り場にはロープもありました。
雨天時は泥で滑りやすいのかな?
振り返るとニノ峰の美しい稜線が広がっていました。
表も裏も美しい稜線を描くニノ峰は美濃禅定道のハイライトかもしれない。
三ノ峰避難小屋に近付くに連れ、また違った花々が迎えてくれます。
ヨツバシオガマ、ミヤマダイモンジソウ。
白山のシンボル、ハクサンコザクラ。
室堂周辺から大汝峰で見られるお花畑は圧巻でした。
(12:30-35)
多くの花々に足を止めながら、三ノ峰避難小屋に辿り着きました。
上小池ルートと合流するので登山者が賑わっています。
三ノ峰避難小屋は神鳩避難小屋と同じく管理が行き届いています。
次は別山と言わず、ここで止まって白山まで行ってみたいな・・・
いや、南竜ヶ馬場まで歩いた方が二日目が楽できるかな?
「あれが三ノ峰ですか!?」「あれは偽物でもうちょっと奥だよ」
・・・銚子ヶ峰でもやられた偽ピークでした。
三ノ峰避難小屋から三ノ峰は高山植物が咲き乱れていました。
こちらの赤い猫じゃらしはカライトソウ。
風に揺れて音を奏でそうなハクサンシャジン。
立ち並ぶクガイソウ・・・ここまで見られなかった花々が大集合。
別山を諦め意気消沈していたところに用意された宝物に救われました。
単独でしか見られなかったシモツケソウも鮮やかに咲き誇ります。
地元の伊吹山でも見事なお花畑が見られるようでいつか見に行かなきゃ・・・
(12:45-13:00)
石徹白登山口から5時間半を掛けて三ノ峰。
銚子ヶ峰から見た別山の美しさにいつか登ってやると決意したものの
最近の山不足に早朝の雨と重なり、登頂できませんでした。
「あの雰囲気のある別山の頂へ立ちたい。」 ぼんやりと描いた小さな夢を5年経ってようやく叶えられました。 体力に自信のある ...
別山の左奥には白山の双耳峰が控えています。
次は別山は当然として1泊2日で白山を目指してみようかな?
多様な高山植物が咲き誇る健脚ルート 三ノ峰・別山 上小池ルート
別山を最短で登る上小池ルートから登頂しました!
4年振りの銚子ヶ峰は新たな気持ちで登れました。
山を歩くだけで楽しかった4年前・・・。
今は花、湿原、稜線と楽しみ方が増えた分、更に楽しめました。
距離が長い分、花が移り変わって行くのも醍醐味の一つ。
健脚向けルートですが早出や小屋泊すれば、無理なく楽しめができます。
お盆前の調整にぴったりのルートです。
引き返しを前提に行けるところまで行ってみてはどうでしょう?
最後まで読んでくださってありがとうございます!
白山周辺の山行記録