「あの雰囲気のある別山の頂へ立ちたい。」
ぼんやりと描いた小さな夢を5年経ってようやく叶えられました。
体力に自信のある方、高山植物が好きな方におすすめのルートです。
概要
石川県白山市、岐阜県大野郡及び高山市にまたがる標高2,399mの山「別山」
白山から少し離れたところにあるのに由来する。
すぐ下にある別山平には高山植物のお花畑が広がり、7月中旬から下旬が見頃となる。
白山周辺の道路の通行状況 を確認しましょう。
(「三ノ峰登山道案内図-三ノ峰 上小池登山口」より)
日程 | 2018年7月22日 |
---|---|
ルート | 上小池 ⇒ 三ノ峰避難小屋 ⇒ 三ノ峰 ⇒ 別山平 ⇒ 別山 |
アクセス | Googleマップで「上小池駐車場 」を確認する |
三角点 | 別山 二等三角点 「別山」 |
周辺情報 | 東海北陸道 白鳥I.C 下車 100分 上小池登山口駐車場 45台 |
トレッキングレポート
2013年の銚子ヶ峰~二ノ峰登山で必ず踏破すると決めた別山。
2016年の白山、2017年の銚子ヶ峰~三ノ峰登山を経て、思いはより強くなりました。
今回は最短距離の上小池ルートから別山に挑みます。
(6:45)
上小池駐車場は綺麗なトイレ・登山ポスト・貸杖・洗場・飲料無人販売と至れり尽くせり。
かなりの健脚ルートなのに、車は続々とその数を増していきます。
上小池駐車場からは刈込池自然研究路が整備されています。
三ノ峰・別山へは自然研究路の岩場コースから入山して行きます。
刈込池自然研究路へ足を踏み入れれば緩やかな下り。
森が深く清々しい空気が周りを包み込んでいました。
美濃禅定道の石徹白大杉と同じく、上小池ルートでは大栗ノ木が迎えてくれました。
不思議な符号に思わず挨拶。「長老、今日もお願いしますね」
(6:50)
やがて打波川沿いの林道に合流。
橋を見送って左手の岩場コースを進んで行きます。
(7:05)
橋を二つ渡って10分ほどで三ノ峰登山口。
昨年は距離のある美濃禅定道で三ノ峰まで行けた。
調整不足は否めないけど、最低でも別山・・・これは曲げられない!
三ノ峰登山口から別山への参考タイムは6時間10分。
休憩込でこのペースで進めれば別山へは13時過ぎ・・・
余裕はない・・・限界を超えるチャンスだ!
上小池登山口は標高950m。ブナ林が陽射しから守ってくれるけど・・・暑い。
「このきつさがお盆に向けた調整にはぴったりなんだ。」
誰に言うでもなく、自らに言い聞かせます。
(7:20)
自然よる浸食が進む山越邸跡。
ここから稜線にある六本檜までは急登が続きます。
山越邸跡にひっそりと咲いていたのはオカトラノオ。
クガイソウとは違う凛とした美しさが感じられました。
暑くつらい登山では花々が清涼剤となります。
自然研究路から元気を分けてくれたヤマアジサイ。
ファンファーレを奏でそうなオオウバユリ。
球根はデンプンを含み、食用にできます。
万が一のときはお世話になるかもしれません。
白草山でも励ましてくれたタマガワホトトギス。
花開くと言うより殻が割れるように咲くんですね。
開かれた右手から顔を出すのは願教寺山。
登山道がなく残雪期のみ登られる情報の少ないお山です。
オオバギボウシはまだまだ蕾を残していました。
うつむき気味に下から上へと花を咲かせます。
(8:20)
市ノ瀬を起点とするルートとの合流点にある六本檜。
白山登山道と合流だけあって驚くほど明瞭となります。
六本檜からはやっと三ノ峰を姿を望めました。
別山にばかり気を取られていたけど、三ノ峰もなかなかの貫禄・・・
振り返ると中央の荒島岳が存在感を放っていました。
名は知りつつもどこか遠くに感じていたけど、これで登れそうです。
稜線に合流して陽射しが激しく降り注ぎます。
ここから三ノ峰避難小屋まで陽射しとの戦いが始まり・・・
銚子ヶ峰から三ノ峰へと続く、美濃禅定道の稜線。
行けそうだと思えば、軽い気持ちで挑んで奮闘したら良いんだよ。
踏破できなかったとしても限界までがんばった経験は無駄じゃない。
(8:35)
P1481から望む三ノ峰。何回見返してもかっこいい!
(8:40)
細やかな木陰に細やかなベンチ。
通り過ぎたけど、完全に陰になっていたら足を止めたかもしれない・・・
(8:45)
およそ中間地点にある案内板。
山肌に引かれた登山道が残された距離を教えてくれました。
「・・・2時間くらいかな」
稜線へ上がり、高度を増して高山植物が増えてきました。
三ノ峰避難小屋周辺でも見られるシモツケソウ。
登山道脇でカリフラワーのように存在感を放っていたのはミヤマシシウド。
(9:20-25)
白山南稜線解説板がありました。
既知の花ばかりですが、山座同定が本当に助かります。
・・・休みたい気持ちは分かるけど、ここへ座るのは止めて欲しいな。
すっかりお馴染みとなったシナノオトギリ。
この花を用いた秘薬の秘密を漏らした弟を兄が切り殺したと言う伝説に由来します。
三ノ峰山頂がガスに包み込まれて来ました。
昨年は進めば晴れてくれた・・・きっと今回も大丈夫!
オドリコソウかと思いきや、タテヤマウツボグサ。
やっぱりヤマタノオロチの化身にしか見えない。
白山の名を冠するハクサンフウロ。
そろそろハクサンコザクラも出てこないかな?
初対面のオオハナウド。
ダイモンジソウのように下に広がる花が特徴的です。
(10:05-15)
高山植物を愛でながら展望ベンチへ到着・・・三ノ峰がぐっと迫ってきました。
暑さと陽射しに足は止まり、別山への時間はギリギリ。急がなきゃ。
マルバダケブキのだらしなさからダラダラとした歩き方に気付かされました。
頭を左右に揺らさず胸を張って前後左右の重心をしっかりね!
三ノ峰避難小屋へ続く、最後の急登。
終わりが見えているので気持ちは楽だけど、身体が重い・・・
風にふわふわと揺れるカラマツソウ。
見ているだけで涼を感じさせてくれました。
初対面となるキンバイソウ。
直径4センチほどの花もあり、大きさに驚かされました。
偶然気付けたグンナイフウロ。
やや横から下向きに花が咲くので見落としやすいお花です。
丸太階段を越え、案内板を過ぎれば、三ノ峰までは巻道が続きます。
足枷を外されたように歩幅が広がってペースアップ!
(10:50-11:20)
三ノ峰避難小屋は昨年と同じく花いっぱいで歓迎してくれました。
転がり込むように避難小屋へ入って身体を休めます。
別山が三ノ峰の陰からひょっこり顔を出しています。
これまでの苦労はここからの歩みで報われる・・・少しだけ足が軽くなった気がした。
昨年良い感じに撮れた三ノ峰とクガイソウのコラボをもう一度!
昨年の撮った写真のようには行きませんでした・・・
(11:30)
一ノ峰から三ノ峰の山頂標識は飾り気のない木造り。
「それはね?ここはただの通過点だからだよ」どこかから聞こえた気がしました。
別山は笠をかぶったものの、稜線の美しさまでは隠し切れません。
美濃禅定道の稜線美は疲れを癒し、進む力をくれます。
三ノ峰・別山の鞍部に至る前からニッコウキスゲロードが始まり。
ニッコウキスゲ群生地として知られる別山平はどれだけすごいんだろう?
振り返るとどっしりとした山容の三ノ峰。
足が止まったんじゃない、振り返るために足を止めたんだ。
別山平への登りではカライトソウが身体を揺らして励ましてくれました。
マラソンランナーの応援みたいだな・・・一人でクスリ。
別山平は一面のニッコウキスゲ畑。
いつしか別山の笠も晴れて最高の景色が広がっていました。
別山の笠は白山が引き受けてくれたようです・・・
山頂まで少しあるし、帰路もある。ちょっとだけ顔を見せてくれないかな?
広大な別山平と御手洗池の美しさに目を見張ります。
御手洗池では逆さ別山・・・すっかり忘れちゃっていました。
難所ではありませんが、ちょっとだけ崖登り。
足掛かりが豊富にあるので選べば手は必要ありません。
初めて銚子ヶ峰を登った2013年から気付けば5年。
体力的、経験的に未熟な頃、憧れていた頂がすぐそこに!
山頂を目前にガスが流れ込んで来ました。
気温が下がるのは嬉しいけど、登頂するまで耐えてくれ!
少し回り込んだところにある別山神社。
いつもは山行の無事に感謝するけど、今回ばかりは晴天をお願いしました。
(13:15-30)
携行食を補給しつつ、待ってみたもののガスが晴れる気配はありません。
でも、別山平のニッコウキスゲと別山を共に見られて良かった。
昨年は強風濃霧の中で登頂。先々週は雨で登山口撤退。 やっと晴天に恵まれ平瀬道から白山を登って来ました。 室堂周辺はまさに ...
白山平瀬道の起点となる白水湖、その奥には三方崩山。
日本有数の霊峰は高山植物の宝庫!白山 平瀬道~大汝峰・お池めぐり
南竜ヶ馬場を経て白山へと続く美濃禅定道。
ここから先、日帰りには相当な脚力が求められます。
現実的に考えたらテント泊・・・いよいよテントデビューかな?
「あの雰囲気のある別山の頂へ立ちたい。」
ぼんやりと描いた小さな夢を5年経ってようやく叶えられました。
上小池ルートは美濃禅定道と比べれば余裕があるはず。
間違ってはいないんだけど、舐めていました・・・。
累積標高差は1680mと白山登山を上回ります。
そんなきつい別山に登山者が殺到する理由は高山植物。
六本檜を越えると斜面いっぱいの高山植物が迎えてくれます。
特に三ノ峰避難小屋~三ノ峰、別山平は一面のお花畑。
高山植物が咲き誇る健脚向けルートはお盆前の調整にぴったり!
体力に自信のある方、高山植物が好きな方におすすめのルートです。
最後まで読んでくださってありがとうございます!
紹介された記事
白山周辺の山行記録