東海・北陸 寺社

伊勢山上 飯福田寺 現代に残る修験道の行場に挑む

2016-12-12


岩場・鎖場好きの二人ですが、伊勢山上は文句なく過去最強!
雪彦山や石鎚山の鎖場が霞んでしまう納得の修行場でした。
表行場は迂回路があり、力量に合わせて挑めます。
高所が苦手でなければ是非オススメしたいスポットです!

 伊勢山上ってどんなとこ?

(「伊勢山上 行場案内図-伊勢山上」より)

三重県松坂市にある飯福田寺いぶたじ・・・通称「伊勢山上いせさんじょう
大宝元年(701年)、役小角えんのおづぬにより開創された霊場。
古来より信奉者が多く北畠家の祈祷所として栄えた。
広大な表行場・裏業場へは今も多くの人々が修業に訪れています。

IKOKKA「伊勢山上」(4分13秒)

伊勢山上の山行情報

日程 2016年11月7日
ルート 飯福田寺 ⇒ 表行場 ⇒ 飯福田寺 ⇒ 裏行場
アクセス Googleマップで「飯福田寺駐車場 」を検索!(松坂I.Cより19分)
周辺情報 飯福田寺 仁王門 駐車場 6台 無料
入山料 500円

軌跡データ/標高グラフ

コースタイム

 活動時間
2:10

 距離
2.6 km

 上り
282 m

 下り
282 m

  • 飯福田寺

    5 分

  • 表行場入口

    10 分

  • 油こぼし

    15 分

  • 岩屋本堂

    30 分

  • 大天井

  • 大天井

    10 分

  • 亀岩

    10 分

  • 鞍掛岩

    10 分

  • 小尻返し

    15 分

  • 飛岩

    10 分

  • 元居ヶ原

    15 分

  • 飯福田寺

 山行レポート

飯福田寺 駐車場


伊勢山上 飯福田寺の駐車場は仁王門前に6台ほど。
仁王門奥の路肩にもスペースがあります。


温もりあふれる周辺案内図。
伊勢山上の表行場・裏行場以外にもコウモリ穴、手打ちそば悠庵があります。
今回はどちらも見送るけど、いつか合わせて来たいところ。


これから修行させていただく飯福田寺に一礼。
仁王門をくぐり、飯福田寺へは数分の舗装路を歩き。


赤い橋を渡り、飯福田寺の境内へ。
ご住職よりユーモアに富んだ表行場説明を受け、入山料500円を納める。
表行場は1時間半~2時間半、境内のトイレを拝借していざ表行場へ!


飯福田寺を出て正面・・・石段を上り表行場入口へ。

表行場入口


表行場入口は薬師堂左。
古の修験道、山伏の修行場が現代に残る事実に驚かされます。
本来は命を賭けて挑む行場、楽しませていただきます・・・不謹慎かな?


折り返しにある「出迎え不動明王像」が花と共に迎えてくれた。
憤怒の表情が浮ついた心を諌めてくれるようだ。

折り返すたびに愛染明王堂、こちらの愛宕大権現、毘沙門天王、女人堂と続く。
女人堂を過ぎれば行場が始まる。

油こぼし


第一行場の「油こぼし
右上に伸びる鎖が正規ルート。左に迂回する鎖もあります。

いち
いち
どうする?

当然こっち!
しな
しな

油こぼしを乗り越えて行きます。
表行場は始まったばかり・・・最初から迂回してられない。


しなの登頂を待ち、いちも続きます。
足場をしっかり確保すれば鎖は必要ありません。


・・・と思いきや、最後は鎖を借りました。
意地を張って滑落したら命が危うい。


油こぼしを乗り越え、行者尊が労ってくれました。
まずは表行場に挑む資格を得たと言ったところでしょうか?


行者尊から最大の難所である岩屋本堂。

いち
いち
まさかあんなところを登るとは・・・


行者尊から振り返り、手すり奥から岩屋本堂へ向かう。
傾斜があるけど、足を窪みに掛ければ心配ない。


「岩屋本堂へはまず迂回路から回り込み、見て自信があれば登ってください」
ご住職の言葉が耳に残る。

いち
いち
まずは岩場本堂を見てみよう。

岩屋本堂


大岩をくり抜いて作られたような岩屋本堂
この場を霊場とした理由が一目で分かる存在感がある。

岩屋本堂右の鐘掛は天然岩ボルダリング。
一度左に回り込み、岩に足を掛け、右上に抜ける。
最後の横穴はしっかり確認して使いましょう。


鐘掛上から岩屋本堂を振り返り。
ここまで登ってしまうと引き返すのも危険が伴います。


岩屋本堂の笠となる岩へ登るのがまさかの正規ルート。
落ちれば命が危うい表行場最大の難所です。
149cmのしなも登っちゃった・・・本当にびっくりした!


切れ落ちた岩の斜面に膝が震えて来ました。
「こんな足元が定まらない状態では危ない。しっかりしろ!」
理性が本能を抑え込んだのかピタリと震えが止みました。


岩屋本堂を登り切ってほっと一息。
生命の危機を意識し、火事場の馬鹿力を発揮させる・・・
行場は眠った力を呼び覚ます場所かもしれない。


岩屋本堂からすぐの抱付岩。登り方が分からず迂回。
正解は岩に抱き付き、上へ登る。


少し登って、小天上とも呼ばれるP328。


尾根歩きが始まる。次の行場はしばらく先だ。


踏跡は人気山レベル。迷う心配はない。

大天井


表行場の中間地点、大天井は休憩にぴったり。
一服したくなるもここは神域・・・行場を抜けるまで我慢。


大天井隣のピークを巻き、小ピークを越え、行場が再開。
亀岩は歩きやすいものの、向こう側は切れ落ちている。

鞍掛岩


続く行場は鞍掛岩。傾斜はやや急、慎重に・・・
と思いきやしなは直立したままスタスタと歩いていきました。


上から見下ろすとこんな感じ。意外と滑らない。
雨天後や強風時を思うと身震いする。


鞍掛岩は蟻の戸渡へ続く。
ぽかぽかの陽射し、心地良い風、展望も良い。


蟻の戸渡からの下りは急降下。
しなは危険とみたか笑顔で「after you(お先にどうぞ)」
ここまで置いてけぼりだったのに・・・


足掛かりがあり、見た目ほど危険はありませんでした。
振り返って感じたのはまさに馬の背・・・本来はこういったところを表したんでしょうね。

小尻返し


小尻返しはご住職お勧めの展望地だ。


足を震わせながら乗り越えた岩屋本堂が見える。
修験者は鎖を使わず乗り越えたそうですが何人が命を落としたか・・・
どんな山でも感じなかった「死」がそこにあった。


小尻返しから飛石が見える。
「この上にどうぞ」と言わんばかりの姿に足が速まる。

小尻返しの下りは2段階の鎖場。
岩のくぼみに足を掛け、ゆっくり慎重に下る。

いち
いち
鎖がないと降りれない・・・

飛石


飛石は窪みが多く安心して歩ける。


天空を拳で突くかのような飛石。
「飛石の上で飛ぶ!」煽ったけど、本当に飛ぶのは驚かされました・・・


振り返れば小尻返し。改めて見るとすごい形だ。
滑落したら絶命待ったなし・・・


「鎖を使わない」と言う選択は消え去りました。
トレッキングシューズは岩肌を掴んでくれるけど、スニーカーは危ないかもしれない。


平等岩まで来れば、行場の終わりは近い。
困難なところはなく緩やかに下ろう。

元居ヶ原


小広場となっている元居ヶ原
時期に表行場も終わりますが、ここで余韻に浸るのも良いでしょう。


元居ヶ原からは岩屋本堂を奉拝できる。


表行場をほぼ終え、少し早いけど、無事を感謝。
岩屋本堂には自然の神秘を感じて止みません。
山岳信仰の対象となるのも頷けます。


少し降りると岩屋本堂展望地がありました。
うん、やっぱり見ているとワクワクしてくる!


表行場最後の下向道
石段は苔生して滑りやすく、小さな段差、奥行きのなさが油断できません。


ご住職に下山を告げ、裏行場が案内されます。
裏行場は短いものの、難度が高く迂回路がないので表行場を終えてから案内する運び。
迂回路をほぼ使わなかった二人は裏行場へ向かう。


仁王門を出て、突き当たりを右へ進む。裏行場入口の案内を左折。
正面は裏行場の達磨岩だ。

裏行場入口


左折すぐの「つじはし」を渡り、裏行場入口の案内板を見る。
川沿いの道へ入れば、裏行場入口だ。

油こぼし

裏行場は鳥居をくぐった瞬間、油こぼしの急登が始まる。
表行場の比べ、角度はあるものの距離はわずか。

いち
いち
苔生して少し滑りやすい


表行場ほどではありませんが良く踏まれている。


石仏・石祠のある達磨岩へ到着。
展望もなく、時間も押しているので先を急ぎます。


達磨岩を越え、まったりした尾根歩き。
足元の岩は力強く足を押し返してくれた。


行場のような一枚岩を登り切り、獅子ヶ鼻へ到着。

獅子ヶ鼻


裏行場の最高点、獅子ヶ鼻
油こぼしと獅子ヶ鼻下りの鎖場が全てでした。


しなが座る獅子ヶ鼻はオーバーハングしており、その下には石仏が祀られています。
修験者達は命綱を仲間に託し、下を覗いたそうですができません。


伊勢山上 行場の締めくくり、獅子ヶ鼻の下り。
足掛かりが豊富にあり、鎖を必要としませんでした。


しかしながら、下から見上げるとこの高さ。
鎖に頼り過ぎも良くないが、命綱代わりに握った方が無難です。


道なりに下って行き、橋は渡らず川に沿って道路へ向かいます。


道路に合流すればすぐに裏行場入口の「つじはし」に出ます。
裏行場は20分で巡れました。

まとめ

ヤマレコで伊勢山上を知り、一目惚れ。
いつかしなと訪れようと時期を待ち1年・・・やっと訪れました。

岩場・鎖場好きの二人ですが、伊勢山上は文句なく過去最強!
雪彦山石鎚山の鎖場が霞んでしまう納得の行場でした。

表行場は迂回路があり、力量に合わせて挑めます。
高所が苦手でなければ是非オススメしたいスポットです!
最後まで読んでくださってありがとうございます!

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